32才のカツラデビュー

poqrot2005-09-28

また一つ無駄に年を重ね終えた。こうして名実ともに中年の階段を昇り続ける僕の目前には、歯周病、体脂肪、痴呆(その多くは天分の資質に負う)と老化問題が山積している訳だが、中でも最も心をくだいているものとなるとやはり毛周りということになってしまう。過去日記を振り返ってみてもほとんど毛髪に特化した日記ではないかとすら思えるほど幾度も繰り返されて来た言葉だけに、ほとほとうんざりしておられる方もいらっしゃることだろうが、こればかりは何度でも言わずにおれない。

そんな僕にとうとう年貢の納め時がやって来たようだ。気にしまい気にしまいと、やり過ごしてきた我が毛周り二重苦の片割れ、薄毛パートが大々的にソロ活動を開始、見て見ぬふりが許されぬほど異彩を放ち出したせいで、もはや気の持ちようだけでは対処出来ない大問題となって表面化してしまった。
一年前ほど前から、鏡に頭部を照らし出しては「ヤバイ、今日は変過ぎる」と独りごちる僕の姿が朝の村田家で時折目撃されるようになってはいたが、本当は時々変なのではなくていつも変で時々我に返る、と言った方が正しかったのかもしれない。先の北海道旅行中、容赦ない雨風によって白日の下に晒された現実にいたたまれなくなった僕は、ニゴさん(id:nigo)より半ば強奪する形でニット帽をせしめたのだが、大阪に帰って来てからもそれは手放せない身体の一部となってしまった。

本来、お洒落と縁遠い人種にとって帽子の敷居の高さといったらない。ましてや62cmという頭周りがちょっとした遊び心すら許さなかった僕に於いて、帽子とはかぶるものではなくて乗せるものであり、アフリカの少女の水汲みにも似たバランス感覚と集中力までも必要とされる、心技体の充実なくしては果たし得ぬストイックな競技と認識されてきた。しかし背に腹は変えられないように、薄毛もまた何者にも変えられやしないものだ。カツラ感覚で手にした大きめニット帽が伸縮性ゆえに巨大頭をも優しく包んでくれるということに気がついた僕は、次なる一手として手先の器用な妹にオーダーメイドのニット帽を編んでもらうことにした。そしてタガが外れたかのように帽子依存症になってしまったという訳である。

さてその後も次々と帽子を編み続ける妹を見て、僕の専属カツラ作家にしておくのは勿体ないと思っていたら、西天満の手作り雑貨店「カナリヤ」に10月末頃から置いてもらうことになったのだそうだ。
少し先の話ではあるが興味を持って下さる方は足を運んで頂ければ、と思う。<追記>

西天満の手作り雑貨店「カナリヤ」の「ニット帽100枚展」、「魔法のマフラー展」で作品を置いてもらうことになり、中でもマフラーは思いのほか売れ行きが良かったようで出展した7つの作品が完売したのだそうだ。兄として喜ばしい反面、ハゲとしてはスペアを頼みづらくて複雑である。