国会のメリークリスマス

日本中を揺るがす耐震偽装問題で遂に姉歯一級建築士らが国会で証人喚問された。僕はこの模様をニュースでしか見ていないので、彼がどのような答弁をしたかまでつぶさに知る訳ではない。しかし衆議院に現れた姉歯氏の姿から今回彼が嘘偽りなく真実を語ろうとしていることだけは看てとれた。
それはイギリスの法廷で今も用いられる中世風のウィッグを彼が自発的に身にまとっていることから明らかだ。
確かに彼一流としか言い様のない着こなしはウィットに富み過ぎている上、本来裁判官や弁護人が着用すべきを参考人ながら使用に踏み切ったあたりTPOを全面的に誤解していると言えなくもないが、言い逃れに終始した他の証人にはなかった確固たる決意の塊が少なくともあの瞬間彼の頭の上にはあった。
その一方で危惧されるのは、よくよく目を凝らしてみた時にフサフサの毛の中に埋もれた目玉を見出してしまう可能性である。もし彼がモリゾールックに身を包んで喚問に臨んでいたのだとすれば、コスプレイヤーである前に参考人であるべきだったとの誹りは免れまい。
いずれにしてもユーモアとペーソスを証人席に持ち込んだ手法がうっすら気に障らないでもないだろうが、どうかそこはクリスマスシーズンに免じファーの帽子と見なしてシャンメリーと共に水に流してはくれまいか。