いつだって輪ゴムだった

最近PHSの充電が心許ない。それと言うのも、本体と充電器どちらに原因があるのかは判然としないが、なぜだか両者がカチリと納まらなくなってしまったからだ。目を離していると充電ランプが消えてしまっていることもしばしばで、充電した気になって外出しても、出先で事切れる場面がまま生じてしまい実に勝手がよろしくない。
そこで応急処置として、輪ゴムでそりの合わぬ両者を二重縛りの刑に処してみたところ、状況がすこぶる改善された。

そう言えば前携帯も差し込み部を捻るように加圧し続けなければ充電できない身体になってしまったが、その時もまた輪ゴムが巧妙な逆エビ固めで僕を助けてくれた。
フロッピーの金属部分が壊れて釣り針の返しさながらに開いてしまった時には、セロハンテープが外開きしようとする反勢力を鎮圧してくれたし、眼鏡の柄が折れた時には、糸がぐるぐる巻きになって、離れてしまいそうに危なかっしいツルを優しく包んでくれた。

どんなにテクノロジーが進んで、ライフスタイルが複雑で入り組んだものに変容しようとも、最後の最後に僕達を救済してくれるのは輪ゴムの束縛とかテープの粘着質だったりする。