遊ばないかと落ちてるキノコが誘う

poqrot2005-02-23

夕方に家を出た。
この日マスターデビューのマコさん、蟹イさん、ユンさんのお三方の活躍を見届けるべく日替わりマスターのバー、シングルズに向かうのだ。
ほどなくして薄暗くなった路傍に黒い影を認める。
スーパーの店頭で見かけるしっかりとパックされたトレイ。
中身をためつすがめつして見たところどうやらエリンギに思われた。
いや、ラベルにはっきりエリンギと表示されている以上これがエリンギであることは火を見るより明らかである。
そして火を見るより明らかなのと同程度に火で炒めると美味なキノコでもある。
すると「これをお祝いにしてみてはどうか」と奇矯極まるアイデアがノンアルコールとは思えぬ愉快さを伴って展開され始めた。
「初マスターおめでとうございます。はいお祝いにエリンギ」
差し入れとしてエリンギが果たす役割について生まれて初めてシミュレーションしてみた訳だが、カバンに生鮮食品を忍ばせた庶民性によしんば親しみを覚えて頂いたとしても、お祝いとしての効力はほぼゼロだし贈り手としての祝福感も正直ゼロだ。
お祝いに相応しいキノコ言葉なんてものがあればこの限りではないが、あるとは思えないしそもそも調べる気がしない。
よし。拾わない勇気。
分別盛りの中年男らしい判断を下して颯爽とその場をあとにした。