RSP(ライジング・サン・ポクロック・フェスティバル)

生まれて初めて迎える夏フェスを北海道の地に求めた僕は、8月18日伊丹発札幌行片道1万6500円の格安航空券の予約メールを送信した。最終確認の返信を済ませて、残すは振込先の連絡を待つだけだったが、そこから待てど暮らせど返事が来ず、そしてとうとう最終入金日を迎えてしまった。なぜ僕がこれほどまでにギリギリの攻防の中に身を置くのかについては、ダメ人間諸氏にはご理解頂けるものと信じているが、ここでは敢えて深く言及はしない。不必要なまでのデジャヴ演出は人間的に取り返しのつかない損失に繋がりかねない、という今さらながらの強い危惧からである。

さて、銀行までの距離を考えればリミット寸前、というよりもリミット直後にあたる昼休みの終盤、遂に先方に電話で問い合わせる事にした。
「申し訳ございませんが御予約のメールを頂いて以降、お客さまからのメールは確認出来ません」
さすがに僕も泡を食った。北海道であの人に会えないようなことになれば、うっかり余って心がぽっかりである。僕はしどろもどろになりながらも、確かに送信した旨と、確かに送信した旨と、確かに送信した旨を涙混じりの懇願調で連呼して、すったもんだの末にようやく往きの便の確保に漕ぎ着けたのであった。

その翌日のことだ。バイブ音に気づきPHSを確認してみると、新着メールを示すアイコンが表示されたままだというのに、受信フォルダは既読メールばかりで肝腎の新着メールが見当たらない。いぶかりながらスクロールボタンで遡ると、7月末の日付けで僕がパソコンから航空券情報を転送した未読メールが見つかった。
確かにPHS宛に転送したのに届かず再送信した記憶はあるのだが、それは実に10日も前のことなのである。
その晩、今度はパソコン宛に先述の格安航空券会社から「申し訳ございませんが8/18出発のお申し込み期限が昨日でしたのご案内させていただいた便はお手配できません」という内容のメールが届いた。
既に入金を済ませており、間違いなく確保してあるので問題はないのだが、メールを送ったいや届いていない、のせめぎ合いの真相がタイムカプセルとして僕の元に届いたサプライズエンディング。
僕が送ったメール引用部の日付けを見ると、このメールもおよそ1週間行く宛先を見失ったまま虚空を漂っていたことになる。
これはとんだフワフワ・ワウワウである。
そして何故このメールがフワフワ・ワウワウしていたかをよくよく考えてみると、きっと送信時の僕の心が石狩に向ってフワフワ・ワウワウしていたからなのだろう、という結論に達した。
サマー。31才最後の海開き

さて板尾創路『チョキ』の名唱で知られるフワフワ・ワウワウだが、そのルーツが石川セリが76年に発表したシングル『フワフワ・WOW・WOW』だということはあまり知られていないようだ。早過ぎた天才少年ピコこと樋口康雄の手によるこの上質のソフトロックが、当時13才の板尾少年になにかしらの影響を及ぼしていたとしても不思議ではない。その意味でここミクシィで圧倒的支持を集めるイッツジーはソフトロックの洗礼を受けていると言っても差し支えなく、このような和モノソフトロックまでもさらりとこなしてしまう8月28日の『ソフトロック〜想い出の日曜日〜』からは目が離せないと強く主張したい。
そしてこの日記はた悪質訪問勧誘でもあるから充分留意されたい